利用規約・プライバシーポリシー設計仕様
本ドキュメントは弁護士に利用規約・プライバシーポリシーの作成を依頼する際のインプットとなる設計仕様書である。法的文書そのものではない。
関連: リーガルチェック
1. サービスの三者構造
利用規約の前提となるサービス構造を定義する。
| 当事者 | 役割 | 説明 |
|---|---|---|
| tanomu-ai | 仲介プラットフォーム | 場の提供・マッチング・代理受領 |
| 依頼者 | タスク発注者 | AIエージェント利用者。API経由でタスクを投稿 |
| 受注者 | タスク実行者 | 個人(主婦層等)。モバイルUIでタスクを受注・実行 |
設計原則: tanomu-aiは場を提供するだけ。業務委託契約は依頼者と受注者の間で成立する。tanomu-aiは契約当事者ではない。
2. 利用規約の要件
2.1 業務委託型の明確化
守るべき法令: 職業安定法、労基法6条(中間搾取禁止)、労働者派遣法
規約に盛り込む要件:
- tanomu-aiは「仲介プラットフォーム」であり、雇用のあっせんや労働者派遣は行わない
- 依頼者と受注者の間で業務委託契約が成立する旨を明記
- tanomu-aiは契約当事者ではなく、タスクの品質・完了について責任を負わない
- 受注者は独立した事業者(または個人)であり、tanomu-aiの従業員・被用者ではない
2.2 代理受領権限
守るべき法令: 資金決済法
規約に盛り込む要件:
- 受注者はtanomu-aiに対し、依頼者から支払われる報酬を代理受領する権限を付与する
- tanomu-aiは代理受領した報酬から仲介手数料を差し引き、残額を受注者に支払う
- 決済サイクル: 成果物受領後60日以内(フリーランス新法の要件を満たす範囲で短期化)
- tanomu-aiは報酬を長期滞留させない(エスクロー型ではないことの明示)
2.3 フリーランス新法への対応
守るべき法令: 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(2024年11月施行)
規約に盛り込む要件:
- 依頼者がタスク投稿時に以下を明示する義務を課す:
- 業務内容
- 報酬額
- 支払期日
- 実施場所・方法
- tanomu-aiは報酬額・業務内容を決定しない(依頼者が設定する)
- 仲介事業者としての虚偽表示禁止義務を遵守する
2.4 受注者の自由と独立性
守るべきリスク: 労働者性の否定、偽装請負の回避
規約に盛り込む要件:
- 受注者はタスクを自由に選択・拒否できる
- 作業の方法・手順は受注者の裁量に委ねる(依頼者・tanomu-aiは指揮命令しない)
- タスクは成果物の納品で完了する(作業プロセスへの関与はしない)
- 受注者は複数のプラットフォームを自由に利用できる
2.5 免責・責任制限
規約に盛り込む要件:
- tanomu-aiはタスクの品質・完了・成果物について保証しない
- tanomu-aiは依頼者と受注者間の紛争について当事者とならない
- システム障害・メンテナンスによるサービス中断への免責
- tanomu-aiの責任上限(仲介手数料の範囲内等)
2.6 禁止事項
規約に盛り込む要件:
- 依頼者: 受注者への指揮命令、報酬の不当な減額、受領拒否
- 受注者: 虚偽の完了報告、第三者への再委託(許可がない場合)
- 共通: 法令違反行為、サービスの不正利用、反社会的勢力の排除
2.7 MVP段階の制限事項
規約に盛り込む要件:
- サービス提供地域は日本国内に限定(クロスボーダー収納代行の登録回避)
- 対応言語は日本語のみ
3. プライバシーポリシーの要件
守るべき法令: 個人情報保護法
3.1 取得する個人情報
| 情報 | 対象者 | 取得目的 |
|---|---|---|
| 氏名・連絡先 | 受注者 | 本人確認、報酬支払い |
| 位置情報 | 受注者 | タスクマッチング(近くのタスクを表示) |
| タスク履歴 | 依頼者・受注者 | サービス提供、マッチング精度向上 |
| 決済情報 | 依頼者・受注者 | 報酬の支払い・受取り |
| APIキー・認証情報 | 依頼者 | API認証 |
3.2 位置情報の取り扱い
位置情報はマッチングの核であり、最も慎重な取り扱いが必要:
- 取得目的: タスクのマッチング(近隣タスクの表示・通知)に限定
- 取得タイミング: アプリ利用中のみ(バックグラウンド取得はMVPでは行わない)
- 保存期間: マッチングに必要な期間のみ。タスク完了後は集計・匿名化
- 第三者提供: 依頼者にはタスク受諾後に限り、受注者のおおよその位置(市区町村レベル)を提供。精密な位置情報は提供しない
- オプトアウト: 位置情報の提供を停止できる(ただしマッチング機能は制限される旨を明示)
3.3 第三者提供
- 依頼者⇔受注者間: タスク遂行に必要な範囲で相互に提供(タスク受諾後のみ)
- 決済事業者: 報酬支払いに必要な範囲で提供
- 法令に基づく開示: 裁判所の命令等
- 上記以外の第三者提供は行わない
3.4 安全管理措置
- 個人情報の暗号化(通信・保存)
- アクセス制御
- 従業者への教育(スタートアップ段階では創業メンバーの意識共有)
4. 同意取得フロー
4.1 受注者の同意フロー
アカウント登録 ↓利用規約の表示・同意(チェックボックス + 確認ボタン) ↓プライバシーポリシーの表示・同意 ↓位置情報の利用許可(OS権限ダイアログ + アプリ内説明) ↓本人確認情報の入力 ↓登録完了設計上の注意:
- 利用規約とプライバシーポリシーは別々に同意を取得する(バンドル同意を避ける)
- 位置情報の許可は、なぜ必要かをアプリ内で説明してからOS権限ダイアログを表示する
- 同意日時・バージョンを記録する(規約改定時の再同意に備える)
4.2 依頼者(API利用者)の同意フロー
API利用登録 ↓利用規約・APIの利用条件への同意(API登録フォームに組み込み) ↓APIキー発行5. 弁護士レビュー計画
5.1 レビュー対象
| 対象 | 優先度 | 備考 |
|---|---|---|
| 利用規約 | 高 | 業務委託型・代理受領の法的有効性の確認 |
| プライバシーポリシー | 高 | 位置情報の取り扱いの適法性 |
| 同意取得フローのUI | 中 | 同意の有効性(十分な説明・自由意志) |
5.2 弁護士に求める専門性
- IT・プラットフォームビジネスの実務経験
- フリーランス新法・資金決済法に知見がある
- スタートアップへの助言経験(MVP段階の現実的な助言ができる)
5.3 レビュータイミング
[現在] 設計仕様書の策定(本ドキュメント) ↓弁護士選定・相談(本仕様書をインプットとして渡す) ↓利用規約・プライバシーポリシーのドラフト作成(弁護士 or 弁護士監修で作成) ↓UI実装(同意取得フロー) ↓最終レビュー(規約文言 + UIフローの整合性確認) ↓MVP公開5.4 弁護士への申し送り事項
本仕様書とともに以下を伝える:
- リーガルチェックの内容(法的論点の洗い出し済み)
- 代理受領型を採用した理由(資金移動業登録の回避)
- MVP段階では日本国内限定であること
- ギグワーカー労働者基準の見直し動向(将来リスク)
- 予算感・スケジュール感
6. 今後の課題(MVP後)
| 課題 | 関連法令 | タイミング |
|---|---|---|
| 海外対応時のクロスボーダー収納代行登録 | 資金決済法 | 海外展開時 |
| 配達タスクの法的整理(貨物軽自動車運送事業) | 貨物自動車運送事業法 | タスク種別拡大時 |
| ギグワーカー労働者基準の改正対応 | 労基法改正 | 研究会結論後 |
| 規約改定時の再同意フロー | — | 規約改定時 |
免責
本ドキュメントはサービス設計のための論点整理であり、法的助言ではない。実際の利用規約・プライバシーポリシーの作成にあたっては弁護士への相談を推奨する。